vol.76 「下山」
3月も、早26日(月)に。
毎日があっという間に過ぎ、今月はどうも時間に置いていかれている感じがします。
震災1年の回想、確認、決意から始まった弥生の月は、卒業の季節も経過。
保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校~
たくさんの卒業式が行なわれた今月。
人生には、節目節目で何回も卒業がやってきます。
その度に、一歩進化し、ゼロにリセットされ新しい旅立ちに向かう事ができます。
私が2月から3月にかけ、読んだ本には・・・
全くジャンルの違う3冊でしたが(まさに乱読)、
その他にもう1冊、こんな本を読みました。
五木寛之 著の 「下山の思想」 という本。
この本にはおそらく、賛否両論、又は、マイナス思考だ、などと思われる人もいると思います。
それは・・・
「登山」 という山岳スポーツは、幅広い世代で愛されており、
現在は熟年ハイカーや、山ガールなる言葉も生まれ、
登山ブームといっていいでしょう。
登山とは、山頂を極めるという目標に向かい、ひたすらに上を目指す行為。
上りがきつくなれば息も苦しくなるが、目標に向かい、つい無理もしながらも登る事に一生懸命になります。
クライマーズハイという言葉もあります。
そして、登りつめた先、すなわち山頂を極めた時の爽快さは何とも言えぬ心地になります。
私も沼田山岳会に入っており、今まで何度もこの嬉しさを体感しました。
筆者が言っているのは・・・
登山すれば、必ずその後に下山しなければならない。
登山には、上りと下りの両方の要素があり、無事に下山できて、初めて登山の全てが終了した事になる。 と。
一流の登山家でも登頂した後、下山中に事故に合う事もあります。
又、下山後に、一定の休息や、充電期間、様々な計画期間などを経て、
次の登山に向かう事ができます。
これを現在の日本に置き換えて考えると、
高度経済成長や、平成バブル景気などを経て、一度は日本は世界の頂上を極めている。
ただただ上を目指し、トップに出るため、やみくもに突き進んできた。
途中のルートに多少の間違いがあったかもしれないが、
まさにクライマーズハイのように、とりつかれたように登りつめる事だけに走ってきて山頂にたどり着いた。
そして今、世界の経済環境が180度変わり、アジア勢が次々に頂上を目指し登山してくる。
又、東日本大震災や原発事故によって、従来の社会概念が一変した。
今、日本はこの時に、頂上にしがみつくのではなく、
今だからこそ、静かに、穏やかに、自ら下山していくべきではないだろうか。と。
下山の行程では、夢中で上を目指していた時には気付かなかった事も見えてくるものです。
遠い下界に見える美しい海、はるかに続く青い空や白い雲。
又、登山中には気がつかなかった山道のかたわらに咲くきれいな高山植物の花。
岩陰から顔を出す山鳥の親子など・・・。
これらを楽しむ事ができるのも下山中だからこそ生まれてくるゆとりのおかげでもあるのでは。
そしてけがなく安全に下山を完了できてこそ、次のチャレンジへの道が開けるもの。
日本人や日本社会が山頂から静かに下山をはじめた時、
それは、今までの物理的な満足を追い求めてきた過去から、
人と人との交流や、心を豊かにする事や、文化的な事に目をむけながら、
悠然と、堂々と下山を楽しむべきではないのか。
そして、無事に下山を終え、次なる登山に備える事が必要ではないのか。
次なる登山が新エネルギーや環境分野であったり、
再び日本の技術が世界をリードする時が訪れる時のために。
と、「下山の思想」ではこんな事を言っていますが、
自分的には、随分と共感する事ができました。
日本社会を自分の身の回りに置き換えても、
仕事の面でも、数字や結果よりも、そのプロセスや理由、思いはせる心など
これらをもっと大切にしていく時であり、
又、仕事と地域や社会との関わりや、自分達の果たす役割を
もっと深く考えていく必要を感じています。
今日は、ちょっと長くて理屈っぽいブログになってしまい、すみません。
なりゆきで書いているためお許しを。
3月もあとわずか、スタートの季節はもうすぐ。
31日(土)~4月1日(日)にかけ、
太田市、渋川市で3邸同時の完成現場勉強会も行なわれます。
私も両日、フル参加の予定です。
現場でみなさんにお会いできる事を楽しみにしています。
(飯島でした。)
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