耐力壁とは、地震や風などの水平力(横の力)に抵抗する壁のことです。

建築基準法では、最低限確保しなければならない耐力壁の量を規定してます。

ﾎﾋﾞｰｽﾀｲﾙでは、建築基準法で定める数値の1.5倍を目標に設計しています。

しかし、耐力壁を増やしたからといって、建物が強くなるわけではありません。

偏った配置をすると、強いところと弱いところができてしまい、

水平力が加わったときに、建物がねじれて耐力壁の少ないところが大きく変形してしまいます。

例えば、南側に大きな窓が集中して北側に耐力壁が集中してしまうことがよくありますが、

そんな建物は水平力が加わったときに南側の変形が大きくなります。

「南側に大きく窓をとること」　が問題ではなくて、

「耐力壁をﾊﾞﾗﾝｽよく配置する」　ということが重要です。

そこで、耐力壁の量と配置が決まると、

建物を4分割にして　「ﾊﾞﾗﾝｽ計算」　をします。

こんな図面を作成します。

建物を図面の縦、横それぞれを4分割し、はじ　と　はじ　のﾊﾞﾗﾝｽを見るのです。

建物の北であるＡ　と　大きな窓がある南のＢ　でﾊﾞﾗﾝｽがよいか、

西側のＣ　と　東側のＤ　でﾊﾞﾗﾝｽがよいかﾁｪｯｸします。

こんなことをしながら、さらに、耐力壁線というものも検討しながら耐力壁の配置を決めていきます。

窓をいっぱいにして、明るく開放的にしたいですが、

構造が安全で安心して暮らすためには、耐力壁はとても重要です。

壁だって、時計を掛けたり、ｶﾚﾝﾀﾞｰを掛けたり、

生活する上でも必要なものです。

「ここには窓がつくれません」　ということもありますが、

安全な住宅になるために、ご理解してください。

 永井　千夏